今日からちょうど20年前の2001年9月11日。私は外交官補として米国NYで暮らしていた。世界貿易センタービルが崩れ落ちるのを目の当たりにして「世界が変わる日」を実体験した。テロ首謀者を匿うアフガニスタンのタリバン政権はその3か月後に米国などによって打倒された。
それから10年後。私は開発支援要員としてアフガニスタンの地方で働いていた。国際社会が一体となって、「新しい国づくり」を目指していた。しかし、首都カブールから離れれば離れるほど、地方の部族・軍閥の支配力は強く、「新しい国づくり」というスローガンはどこか現実離れしているように感じていた。
更に10年後の今日には、とうとうタリバン政権が再興している。この20年間の歴史は何の意味をもっているのか。無力感を覚えざるを得ない。
かつての英国、ソ連に続いて、この20年の米国陣営の介入もうまくいかなった。
なぜか?
これら大国は、アフガニスタンの本質を、本気で理解しようとしたのだろうか。そもそも、この地に、①「中央集権的な」②「(欧米型の)自由・民主主義の」③「国家」を作ることはできないことを、いい加減、肝に銘じなければならない。
タリバン新政権もやがて行き詰まる運命であろうが、その後、国際社会はどのように関与すべきかを、いまのうちから考えなければならない。容易に解答がみつからない難題ではあろうが、少なくとも、「欧米型の民主主義国家樹立」の幻想は初めから捨てるということであろう。
私は、アフガニスタン勤務の思い出を大切にしている。いまは、この20年が無駄だったと考えないように努めている。学校建設など私も関わった民生支援の「正の遺産」が生き続けることを切に願いたい。