勉強はただやればよいというものでもない。明確な目標と計画に沿った1時間の集中勉強は、ダラダラと課題をやるだけの3時間の勉強よりもはるかに価値がある。
当塾では、「塾に来て、かばん開けたら学校のワークが入っていたので、それをなんとなく進めた」、「昨日は英語をやったから、今日はたまには数学でもやろうかな」など、そういうテキトーな勉強をする生徒は、さすがに少なくなった。計画を立て、それに沿って今日やることを決めて塾に来る生徒がほとんどだ。
それでも、彼らの計画をちらっとみて、「水曜日:2時間やる」と時間目標だけ書かれてあると、ちょっと心配になることもある。学校や私用を考えて、机に向かう時間を計算することはもちろん大切だが、日々のプランは、「水曜日:数学2次関数問題集P34-37」のような学習内容として立てることが重要だ。
時間はあっという間に過ぎていく。貴重な時間を無駄にしないためにも、最短距離、最大効率で勉強を進めてもらいたい。
勉強を始める前に、次の6つのステップをしっかり確認してほしい。これらをやらずして、勉強を始めてはならない。
第1ステップ 目標設定
遅くとも高3にあがるときには、具体的な志望大学・学部は決めておきたい。決める時期が早ければ早いほど、第一志望の合格率が高いというデータも存在する。
そんなこと言われても、将来やりたいことがみつからないし、行きたい大学もなかなか決められないという生徒も多いだろう。そういう場合でも、無理矢理決めるのだ。受験勉強中に変更する可能性は大いにあるので、最初はえいや!と開き直って決めてもらえればよい。
第2ステップ 情報収集
志望大学を決めたら、その大学・学部の入試制度を調べる。いまは、「赤本」を手にするまでもなく、ネットなどで簡単に基本事項は調べることができる。特に第一志望については、大学のHPで募集要項をダウンロードしたり、資料請求するなどして、詳細を調べてもらいたい。
第3ステップ 現在地の確認
次は、自分がいる現在地の確認だ。
合格最低点(あるいは有望圏)と、現在の実力にどれだけ乖離があるのかを、できるだけ客観的に把握する必要がある。客観性の観点から、模試の判定結果を使って目標を数値化することが望ましい。
第4ステップ 年間計画の策定
第3ステップまで終われば、あとは具体的なスケジュール作成だ。
入試本番までに残されている時間と、科目・分野ごとの優先度(第3ステップで検討したこと)を踏まえ、年間計画を立てる。それぞれ状況(部活、併願など)は異なるので、当塾は、生徒ごとに計画策定をサポートしたい。
第5ステップ 月間計画の策定(あるいは短期目標向け計画の策定)
年間計画ができれば、それをベースに細かな月間計画を作る。毎月の終わり頃に、翌月の学習項目、週ごと(第1週、第2週、第3週、第4週)のノルマを計画するという作業だ。
6月、7月、…、と月別計画を立てる代わりに、「マーク模試までの1か月間計画」、「夏期休暇計画」のような区切りが明確な期間の計画を立てることでもよい。
第6ステップ 週間計画の策定
月間計画で、○月第○週のノルマを決めたが、その週が始まるときに、月曜日から日曜日まで、どのようなペースで勉強をしていくのか、さらに細かく策定するのが週間計画である。
なお、第5ステップの月間計画を詳細に作ったのであれば、この週間計画は、なくてもよい。ただ、計画を細かく立てることが好きな生徒、細かく立てないと自分を律することに自信がない生徒は、週間計画も策定することをお勧めする。
くれぐれも、年間計画、月間計画あってこその週間計画であるということを忘れてはならない。中長期的な計画も明確でないのに「今週はこれをやろう」という行き当たりばったりなやり方では、学力は効果的に伸びない。