学習の手引き(1)6つの鉄則

 今回から10回にわたって、「学習の手引き」を連載する。

 初回の今回は、特に大切なことを、「6つの鉄則」としてまとめたい。これらは、塾でも繰り返し述べていることばかりである。

鉄則1:計画をしっかり策定すること

 海図なくして航海できないように、計画なくして勉強はできない。

 最も重要な点なので、次回で詳しく述べることにする。

鉄則2:今やっている勉強が意味のあるものかを常に自問すること

 勉強を進める中で、当初の計画をたえず見直していく。

 例えば、定期テスト対策で、当初は数学が大変そうと思っていたが、数学より英語のほうが難しいことがわかった。この場合、勉強の重点を数学から英語にシフトするのは当然である。

 あるいは、選んだ参考書が自分のレベルに合っていないことが徐々にわかったら、早い段階で他の参考書に切り換えることも必要だろう。

 このように、効果的な勉強ができているか、目標に向かって最短距離で進んでいるかを常に自問し、計画を練り直すことが重要。1日の勉強を終えたら、「今日の勉強はこうしたほうがよかったかもな」と反省するクセをつけるとよい。

鉄則3:一つの参考書をボロボロになるまで使い切ること

 せっかく良い参考書を持っていても、1周だけ終えて別の参考書に移るのはもったいない。自分に合った参考書であれば、繰り返し(3周以上)読み返し、解き直すことで、初めて実力が付くと考えてほしい。

 したがって、参考書の数は少なくてよいのだ。これぞと決めた参考書をボロボロになるまで使い倒そう。

鉄則4:インプットよりもアウトプットを意識すること

 学校の授業、予備校の集団授業をまじめに聴いて、その場でわかったつもりでいても、それはテスト勉強のスタート地点に立ったにすぎない。授業や参考書で理解したこと(インプット)を、テスト本番で答案用紙にいかに自力で表現できるか(アウトプット)が、テスト勉強の真価である。

 特に受験生は、インプットよりアウトプットを意識した勉強をしてほしい。私が、集団授業をする塾や予備校よりも、例えばZ会のような通信教育を推す理由もそこにある。

 当塾の指導も、アウトプット能力を高めることに主眼を置いている。独学や集団授業では対策が弱くなりがちな英作文添削、記述式問題添削、面接シミュレーションなどに、可能な限り多くの時間をあてていきたい。

鉄則5:暗記作業では手と口を使って反復すること

 インプットの大半は暗記作業だが、暗記が苦手な生徒への助言をしよう。

・教科書・参考書をぼーっと眺めているだけでは覚えられない。

 (単語・用語は、いらなくなった紙に、何十回と書きなぐって、手に覚えさせる。)

・1回だけでは覚えられない。

 (覚えても次の日になれば誰でも忘れる。記憶が定着するまで何周もすること。)

・英語、古文・漢文は、音読すると暗記が進む。

 (音読で脳が活性化し、記憶効率が高まる。)

鉄則6:集中力を高める訓練をすること

 テスト本番のパフォーマンスをあげるために、短時間集中する訓練をしてほしい。テスト時間は60-90分が標準的なので、勉強時間も60-90分集中しては休憩を挟むというサイクルを意識的に作るとよい。

 なお、イヤホンで音楽を聴きながら、あるいはBGMとしてテレビやYouTubeを付けながら勉強している生徒がいるが、やめたほうがよい。テスト本番で、音楽やテレビ音声は流れているだろうか。本番同様、静寂のなか集中力を研ぎ澄ませる訓練をしてほしい。

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