コラム・グローバル人材(OGC-19)

 「国際関係論を勉強したいので、県外の大学を受験します。」

 「国際的な仕事に就きたいので、沖縄を離れます。」

 私の塾で勉強する高校生、センターに顔を見せる大学生がそのように言うのを何度も聞いて、頼もしさと寂しさの入り混じった気持ちになることが何度もありました。

 県外出身の私が教育業界に身を置いて気づいたことは、他県と較べて、沖縄県のこどもたちの国際感覚が豊かであるということです。これからの時代、どのような仕事でも国際社会との関係なくして成り立ちませんので、このことは沖縄がもつ宝物だと思っています。

 問題は、このような若い世代の純粋な気持ちを真正面から受け止めてサポートできる環境が沖縄には十分にないということです。グローバル人材になりたいという強い意志と能力を伸ばすための学習環境、就職機会がもっとあればいいなと思います。

 例えば、国内外大学の国際関係学部を県内に誘致できないでしょうか。多くの留学生が集まり、高いレベルの対話型授業が展開されるキャンパスがあれば、県内外の高校生を惹き付けることができるでしょう。

 そして、例えば、平和・軍縮・地球環境などを扱う国際機関の創設や国連アジア太平洋本部を誘致できないでしょうか。沖縄は安全保障、国際交流、人類の将来のあり方を考える上で絶好の場です。このような国際機関があれば、世界からグローバル人材が集まるでしょう。

 「人間の安全保障に関係する仕事がしたいので、沖縄○○大学で学び、沖縄国連○○局に就職したいです。」

 こんな生徒の発言が、私の塾で聞ける日がいつか訪れることを願っています。

 現在、日本社会には閉塞感が漂い、国際社会の先行きも不透明です。だからこそ、将来に目を向け、多様性と包摂性が尊重され、一人ひとりが尊厳をもって生きることのできる平和な社会を作るために、そのような価値観を育んできた沖縄県の役割が一段と必要になっています。沖縄県の地域外交は、よりよい世界を作るために沖縄が拠点化する営みであり、日本の外交力強化にもつながる大きな意味をもつと信じています。

 外交とは人が行うものです。沖縄県の地域外交も人が担うものですから、これから沖縄が地域外交を通じてアジア太平洋の中心で輝き続けるためには、若いグローバル人材を、初等教育、高等教育、社会人教育のそれぞれの段階で、大切に育てることが何よりも大切だと思っています。

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